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April 13, 2023

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ジャストインタイムが大きな違いを生む

産業界が直面する脱炭素の課題については、2つのことが言えます。長期的にはクリーンな燃料が必要となりますが、現状では役に立つほどの十分な量は得られません。そこで、短期的には船舶の効率化が重要となります。

こうした取り組みは、これまでは個人の行動に基づくもので、大きな影響を及ぼすような体系立った変化ではありませんでした。グローバル海事フォーラムの最新の短期行動概要でも明らかなように、協調的な行動をとらない限り、大規模な改善は実現困難です。

フリートレベルでの解決策としては、海運エコシステムの効率化を推進することができますが、システムレベルでシフトするには、バリューチェーン全体を通じた関係者間の協力と多角的な解決策が必要です。

ジャストインタイム(JIT)到着によるGHG排出量削減の取り組みは、Voyagerとシンガポール海事・港湾局がパートナーシップを結んだこともあって、よく知られるようになっています。

JITは、寄港日時が予測しやすい定期航路でのみ効果的だと思われがちですが、遅延や行列が発生しやすいシステムであれば、すべて改善可能です。

ロッテルダム港では、港湾事業・船舶運航会社のMaersk、MSC、それにIMOの代表者が参加して、JIT船舶運航のデスクトップトライアルを実施し、排出量を大幅に削減できることを実証しました。

このプロジェクトでは、1か月間、1つの特定のターミナルに26隻の船舶が寄港した状況について分析が行われました。これらの船舶には、パイロットステーションへの到着の要請時刻に関する最新情報を通知しました。あるシナリオでは到着の24時間前、別のシナリオでは12時間前に通知することで、速度を最適化することができました。

実際のケースと2つのJITシナリオとを比較すると、最後の12時間で速度を最適化したJITシナリオでは、26隻の船舶の燃料消費量は平均9%減少しました。この結果が示しているのは、比較的簡単な仕組みで、燃料と排出ガスの大幅な削減が可能だということです。

また、オーストラリア東部のニューカッスル港では、ドライバルクに関して一歩前進が見られました。2007年に発生した「パシャ・バルカー」号の座礁事故は、荷を積むために行列をつくる船舶の数、停泊時間、そしてそれがもたらすリスクへの懸念に火をつけました。ニューカッスル港では、7日前に準備完了を通知することで到着までの速度を最適化するシステムを用いて、石炭船の動きと停泊状況を管理することを始めました。

渋滞を効果的にコントロールし、停泊待ちで行列をつくる船舶の数を減らす対策を講じれば、船舶、港湾、環境へのリスクも低下します。ニューカッスル港では、チェーン全体を通じたプレーヤーが参加することで、鉱山、鉄道、ターミナル、海運といったチェーンの構成要素のパフォーマンスに関して、コネクティビティが改善され、不確実性が低減されました。

航海の非効率性を解消すれば、ある程度の進歩は可能になりますが、さらなる進歩を実現するには、システムレベルでの集団的な行動が必要となります。たとえば、「速く航行してきて待つ」という従来の方法で到着した停泊中の船舶の「行列」を、合意された時刻に入港する船舶が「飛び越える」ことができるようにしないと、JIT到着は意味がありません。

集中的な「航空管制」に相当するシステムがなければ、問題は先送りされるだけで、ほとんど状況は好転しない可能性があります。こうしたシステムがあれば、ターミナルに到着する全船舶の到着時刻を最適化することで、「速く航行してきて待つ」のを根絶し、同時に二酸化炭素排出量を削減するのに大いに役立つでしょう。

JIT到着を実現するためには、寄港ビジネスプロセスの関係者が緊密に連携して協力し、必要な当事者に情報を提供したり、最新情報を知らせる必要があります。こうした効率的な情報交換により、寄港プロセスを最適化することができます。寄港プロセスとその関連プロセスを最適化すれば、港湾の競争力を高めることもできると、GMFでは考えています。

この業界では、ますますGHG排出量を削減する方法を模索しています。ですから、船舶のJIT到着とそれによる燃料消費量の削減が可能になるよう、港湾サービスの利用可能性に関していっそう正確で信頼性の高い情報を提供する港湾が、船会社や用船者に選ばれるようになる可能性があります。港湾での遅延や非効率が最小限に抑えられれば、港湾の評判が高まり、売上高や貿易額の増加につながる可能性があります。

航海効率の最適化や、ジャストインタイム到着は、第一歩にすぎません。最近開催された、あるワークショップでは、運航効率の向上を加速させるために、現在から2025年までの間に必要な具体的なコミットメントがマップ化されました。

そこでは4つの成功要因が特定されました。すなわち、パフォーマンスデータの透明性の向上と標準化、パイロットとベストプラクティスの拡大、陸揚げ港で遅延が発生した場合に仮想到着手続きを奨励する契約上の変更、および新しいビジネスモデルを可能にする方針と規制です。

このような話題であっても、改革に非常に熱心な人たちは議論を戦わせます。しかし、この業界で求められる改善は規模が大きく、壁が立ちはだかっているのが現状です。さらに情報を集めることで、行動の推進力を高度化することができます。GMFでは、業界リーダーを結集することで、意識と勢いをもたらし、運航の効率化というビジネスチャンスから利益を挙げることができると考えています。

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